おいしいさは舌で感じるのではない。
食の研究。
私たちザ マグリットは、パーティーを研究し、より『ワクワク』するパーティーを創るためにはどうしたら良いか、
日々考えております。
その中で、重要なファクターは、「食」。
盛り上がるパーティーには、食が関わるパーティーがほとんどです。
「美味しい」とは何か?そこにもフォーカスをあて、研究しております。
感覚の化学
人は何かを食したときに、『おいしい!』とか『まずい~』という言葉を使いますが、これは味だけのことではなく、複雑な感覚が総合された表現のようです。
確かに、同じ食べ物でも、居心地のいい空間で食べるのと、居心地の悪いところで食べるのでは、おいしいと感じる感覚は変わりますし、その人の嗜好によっても感じ方は変わってきます。
人は視覚と聴覚で94%の情報を得ていると言われています。
※教育機器編集委員会 参照
<知覚割合>
視覚/83% 照明学会87%
聴覚/11% 照明学会7.0%
臭覚/3.5% 照明学会3.5%
触覚/1.5% 照明学会1.5%
味覚/1.0% 照明学会1.0%
味覚が1%というのは驚きですが、確かに、目をつぶって食べてもおいしいとは感じませんし、鼻をつまんで食べても、何を食べているのかよくわかりません。
おいしいと感じるのは舌だけではなく、五感で感じていて、おいしさは舌や口の中ではなく、脳で感じられる(総合感覚)と言われています。
楽しく食事をするとおいしいものが増える
おいしさを感じさせる要因には、味やにおいばかりでなく、食べ物の色や形、食べたときの食感や音など、さまざまなものが含まれます。
さらに、食べ物の直接的な要因だけでなく、食べる人の体調や、食べるときの環境、食文化などの間接的な要因にもおいしさは左右されます。
日常的に「おいしい」という言葉はよく使いますが、実際はこの感覚は医学的にもかなり複雑なようです。
五感によって受け取った、味や香り、色、形などの外観、温度、歯ごたえなどの食べ物の情報は、大脳皮質のそれぞれの感覚野(かんかくや:「感覚領」とも言う)に伝えられます。
大脳皮質とは大脳の表面に広がる薄い神経細胞の層で、知覚や思考などの中枢になっているところです。
感覚野は大脳皮質のうち、感覚に関与している部分。情報は感覚野に伝えられた後、大脳皮質連合野という部分に集まり、食べ物が安全かどうか、求める栄養素を含むかなどを判断するのです。
FOODS CHANNEL 農学博士/佐藤成美 氏より
味覚などの五感から得た食べ物の情報と血糖値など生理的な状態の情報は、さらに扁桃体(へんとうたい)へと伝わります。
偏桃体とは、大脳の内側にある大脳辺縁系の一部で、いい気持ちになったり、不愉快になったりする、「快・不快」の本能的な感情を生み出しているところです。
ここでは、記憶や体験など過去の情報と照合し、食べ慣れていて安心して食べられるなどの手がかりをもとに、好ましいかどうかを判断します。
扁桃体の情報は、さらに視床下部(ししょうかぶ)へと伝わり、偏桃体の近くにある食欲をコントロールする部分で、食べるように促す摂食中枢と、食べるのをストップさせる満腹中枢に分かれています。
好ましい食べ物の場合は摂食中枢を刺激します。
すると食欲が増し、おいしく味わって食べることができます。
好ましくない場合は、食べることをやめてしまいます。
『おいしい』と感じる様々な条件
『おいしい』と感じるには、上記のほかに様々な要因が考えられます。
お腹がすいているか、いないか。
食事をするときの体調、感情。
【経験】子供のときには苦手だった食べ物が、大人になったらおいしく感じる、また、好物はおいしく感じるなど、食経験を重ねることでもたらされるのが経験的なおいしさです。
食経験を積んで、安全な食べ物だと認識されれば、コーヒーやビール、梅干しなどのように苦味や酸味のある食べ物もおいしく感じます。
これが経験的なおいしさです。
【記憶】“おふくろの味”という言葉がありますが、幼少の頃、家庭という安全な場所で出された食事の味は、当時はそれがそれほど好きではなかったとしても、成長と共に、子供の身体(脳)に「食べても安全な味」として記憶されます。安全な味だからこそ、後に美味しく感じるのです。
そのほかに、考えられる要因のなかには、
誰と食べるか。
どんな場所で食べるか(雰囲気、温度、湿度、ライティング)。
流れている音楽、料理をつくる音。
香り、盛付方、食器、料理の温度、味の組み合わせ(野菜、肉、魚、汁、デザート)、味のバランス。
量的な満足感。
集まった理由。
給仕の仕方(外食の場合)
一緒に飲む飲物
価格(外食の場合)
その人の嗜好(好き嫌い)
待たされる時間などなど、様々な要因が考えられます。
それらを総合して、人は『おいしい!』と感じているのです。
ヒトは、舌にある味蕾(みらい)という器官で味を感じ取り、ニューロン(神経細胞)を通して脳で『甘酸っぱい』だとか『苦い』だとかを知覚しています。
◆出典:
【味覚センサーの仕組み(1)】おいしさと味覚について | 味博士の研究所
味覚には生理学的に5基本味と呼ばれるものがあります。
それは、酸味、塩味、苦味、旨味、甘味の5つの要素で成り立っています。
味覚センサーには、辛味は含まれません。
食べ物の好き嫌いはなぜ起こる?
人によって好きなもの、嫌いなものは異なります。なぜ人によって異なるのでしょうか。
人は生まれつき遺伝子機能に個人差があり、生まれたときの好き嫌いは脳幹で処理されます。
例えば子供の場合、母乳やミルクしか飲んでいなかった赤ちゃんにとって、新しい食べ物に挑戦することは、不安や恐怖を伴います。
もし、初めての食べ物で、お腹が痛くなったり下痢をしたりすると、二度とその食べ物を食べたくなくなってしまうのです。一種のトラウマ的なものかも知れません。
また、食べ物の好き嫌いは「認識の違い」が大きく関係しています。
認識の違いは、その人がもともと持っている感性や生きてきた住環境によって生じますので、両親(特に食事を与える母親)の影響を多大に受けることになります。
食べ物だけでなく、色々な物事の捉え方というのは人によって異なります。味覚もそのうちのひとつです。
日本心理学会によると、ネガティブなバイアスという現象があるようで、例えば、ラーメンが好きな人であっても、ラーメンを食べている最中に、どんぶりから異物が出てきたとしたならば、とたんにラーメンを嫌いになるといったものです。
また、2日間に渡って食物の遮断をされたハングリーな状態のラットでも、初めて見たチーズを怖がって食べようとしません。
食物の好き嫌いは、雑食性動物である人間が毒性のある食物を摂取してしまう危険を防ぐために有している防衛機制であるともいえます。
しかし、食べ物の好き嫌いについては、現時点では、大阪大学で専門的に研究されている方でも、まだまた未解明な点が多い分野であると言われています。
株式会社マグリット
専務取締役 羽原正人
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